親が亡くなり、金沢市の家を相続した。しばらくして「固定資産税の納付書」が届いた。
「え、これ誰が払うの?」「亡くなった親の名義のままなのに、請求が来た」「もう支払ってもいい?それとも待つべき?」
相続した不動産の固定資産税については、多くの方が疑問を抱き、混乱します。「まだ相続登記が済んでいないし…」「兄妹でもめているし…」と、そのまま放置してしまう方も多いのです。
しかし、固定資産税を滞納すると、延滞金がかかり、最終的には不動産が「差し押さえ」される可能性もあります。このページでは、相続した不動産の固定資産税について、仕組みから滞納時のペナルティまで、詳しく解説します。
固定資産税とは:金沢市での基本知識
固定資産税は、金沢市に所有している土地・建物に対して、毎年かかる税金です。
- 納税義務者:土地・建物の「名義人」
- 納付時期:毎年4月~翌年3月(年間)。通常は4月、7月、10月、1月の年4回に分けて納付
- 税率:固定資産税評価額の1.4%(金沢市の標準税率)
- 納付先:金沢市役所 資産税課
例:金沢市で相続した家の評価額が2,000万円の場合
年間固定資産税 = 2,000万円 × 1.4% = 28万円
これが毎年かかることになります。
親が亡くなった場合、固定資産税はいつから払う?
これは多くの相続人が誤解するポイントです。
重要:「相続登記の有無」と「固定資産税の納付義務」は別問題
多くの方が思っていること:「相続登記が完了してから、固定資産税を払い始めるのではないか」
実際の法律:親が亡くなった時点で、固定資産税の納付義務は相続人に移ります。相続登記が完了しているかどうかは関係ありません。
つまり、相続登記がまだ済んでいなくても、名義が親のままでも、法律上の相続人は固定資産税の支払い義務を負うのです。
正確には「相続人全員が連帯して納付義務を負う」
相続人が兄妹3人いた場合、法律上は「3人全員が、その固定資産税全額の支払い責任を負う」ことになります。
つまり:
- 長男だけ払う場合もあれば
- 妹が全額払う場合もあれば
- 3人で分割して払う場合もあります
どうするかは「相続人の話し合い」次第です。ただ、金沢市役所から送られてくる納付書は「誰に」届くかというと——それは「登記簿上の所有者(=亡くなった親)の住所」に届きます。
実務的には、親の不動産に住んでいる相続人が納付書を受け取り、そのまま支払うケースが大多数です。
「いつから」の具体的な時期
固定資産税は「1月1日を基準日」として課税されます。
例:父親が2025年6月15日に亡くなった場合
- 2025年分の固定資産税(2025年4月~2026年3月分):まだ「年の途中」での相続。法律上は相続人が支払う義務がありますが、実務上は「2025年度分を親の遺産で支払い、2026年度分から相続人が支払う」という処理が一般的です。
- 2026年分の固定資産税(2026年4月~2027年3月分):完全に相続人の支払い責任です。
つまり、親が亡くなった「年度」によって、支払い開始時期が異なるのです。
相続登記前に固定資産税を払うことは可能か?
答えは:可能です。
相続登記が済んでいなくても、金沢市役所に「相続人である」ことを説明すれば、納付書を相続人宛に変更してもらい、そこに納付することができます。
手続き:金沢市役所 資産税課に電話し、「父が亡くなりました。相続登記はまだ済んでいませんが、固定資産税の納付書を相続人宛に変更してもらえますか」と伝えるだけで大丈夫です。
金沢市役所 資産税課:076-220-2186(月~金 9:00~17:30)
固定資産税を滞納するとどうなるか:金沢市での実例
相続した不動産の固定資産税を支払わないと、以下の流れが進みます。
段階1:延滞金が加算される(滞納から1ヶ月後)
固定資産税の支払期限を過ぎると、「延滞金」が自動的に加算されます。
延滞金の利率:
- 納期限から1ヶ月以内:年2.6%の延滞金
- 納期限から1ヶ月を超えた場合:年8.8%の延滞金
例:年間28万円の固定資産税を1年間滞納した場合
延滞金(最初の1ヶ月)= 28万円 × 2.6% × 1ヶ月 / 12ヶ月 = 約607円
延滞金(その後11ヶ月)= 28万円 × 8.8% × 11ヶ月 / 12ヶ月 = 約23,573円
合計延滞金:約24,180円
つまり、年間28万円の固定資産税を1年滞納すると、本税28万円 + 延滞金24,180円 = 約30万4千円を払うことになります。
段階2:督促状が届く(滞納から20日後)
金沢市は、固定資産税の納期限を20日過ぎた時点で「督促状」を送付します。
この時点で、相続人は「滞納しており、支払いが必要である」ことを正式に通知されます。
段階3:差し押さえの予告が来る(滞納から3~6ヶ月後)
督促状を受けても支払わない場合、金沢市は「差し押さえ予告書」を送付します。
この予告書には「このまま支払わないと、あなたの不動産を差し押さえます」という警告が明記されています。
実務的には、この段階で「話し合い」を金沢市と進めることになります。
段階4:差し押さえが実行される(滞納から6~12ヶ月後)
それでも支払わないと、相続した不動産は「差し押さえ」の対象になります。
差し押さえとは:金沢市が、相続人の承認なく、その不動産を法的に「市のもの」として扱う手続き。この状態では、相続人は不動産を売却することもできません。
段階5:公売が実施される(差し押さえから1年以上後)
差し押さえされた不動産は、金沢市によって「公売」にかけられます。
つまり、競売のような形で、金沢市が滞納した固定資産税に充当するために、勝手に不動産を売却するのです。
金沢市での実例:固定資産税を5年滞納した相続人の家が公売にかけられ、本来1,200万円の価値がある家が、900万円で売却されました。その代金から滞納税と延滞金(約150万円)を差し引いた750万円しか、相続人に返ってきませんでした。
滞納した場合の「分割払い」は可能か?
答え:可能です。
金沢市は、「支払う意思があるが、一括では払えない」という場合、分割払いに応じることがあります。
手続き:金沢市役所 資産税課に電話し、「滞納分を分割で支払いたいのですが」と相談するだけです。
一般的な分割条件:
- 滞納額が50万円以下:最大3~6ヶ月の分割
- 滞納額が50万円超:最大12ヶ月の分割(交渉次第)
ただし、分割払いが認められるためには「今後の固定資産税は期限内に支払う」という約束が必要です。また、分割中に新たに滞納が出た場合、分割払いの契約は解除される場合があります。
相続登記義務化との関係
2024年4月から、相続登記が義務化されました。つまり、相続してから3年以内に相続登記をしなければ、罰則(10万円以下の過料)の対象になります。
固定資産税を滞納していると、相続登記を申請する際に「滞納がないこと」を確認される場合があります。実務的には、まず固定資産税の滞納を解決してから、相続登記を進めるという流れになることが多いです。
相続人が複数人いる場合、固定資産税はどう分割する?
相続人が兄妹3人の場合、固定資産税をどう分割するかは、「遺産分割協議」の中で決めることになります。
パターン1:換価分割(売却して現金分割)
→ 不動産を売却する場合、売却の時点で「売却されるまでの固定資産税は誰が支払うか」を相続人間で決めておく必要があります。一般的には「売却を決めた相続人が負担する」ケースが多いです。
パターン2:代償分割(一人が相続、他の相続人に金銭を支払う)
→ 相続した相続人が、その後の固定資産税をすべて支払う責任を負うのが一般的です。「代償金」に固定資産税の負担分を上乗せするケースもあります。
パターン3:共有分割(みんなで共有)
→ 法律上、共有者は固定資産税を「按分」して支払う責任を負います。例えば3人共有なら、各自が1/3ずつ支払うことになります。ただし、実務的には複雑になり、トラブルになることが多いため、共有分割はお勧めしません。
金沢市・野々市市・白山市での固定資産税の標準額
金沢市:税率1.4%(標準税率)
野々市市:税率1.4%(標準税率)
白山市:税率1.4%(標準税率)
ただし、固定資産税評価額は市ごとに異なります。同じ価値の不動産でも、白山市の方が評価額が低い傾向にあるため、固定資産税の額は白山市の方が安くなることが多いです。
固定資産税以外の税金:相続した不動産で気をつけるべき税金
相続した不動産には、固定資産税のほかにも税金がかかります:
- 都市計画税:金沢市の市街地内にある不動産にかかる税金。固定資産税評価額の0.3%。
- 不動産取得税:相続した場合は「相続税を支払った場合は非課税」となります。
- 相続税:相続財産が一定額以上の場合、相続税がかかります。相続した不動産の評価額も含まれます。
- 売却時の譲渡所得税:相続した不動産を売却した場合、売却益に対して所得税がかかります。
今、相続した不動産の固定資産税について、やるべきこと
まず1週間以内:
- 親が亡くなった日付を確認する
- 相続した不動産の「固定資産税納付書」が自宅に届いているか確認する
- 納付書に記載されている「税額」を確認する
1ヶ月以内:
- 金沢市役所 資産税課に電話し、「相続しました。今後の納付方法について教えてください」と確認する
- 相続人間で「誰が固定資産税を支払うのか」を相談する
- 納付書を相続人宛に変更してもらう(必要に応じて)
3ヶ月以内:
- 相続登記の準備を進める
- 遺産分割協議書に「固定資産税の負担方法」を記載する
絶対にしてはいけないこと:
- 納付書を無視して放置する
- 支払い能力があるのに、「相続登記が済んでいないから」という理由で放置する
- 相続人間で「誰が払うか決まるまで待つ」と無期限に放置する
固定資産税の滞納は、相続の中で「最も避けるべき事態」です。気づかないうちに延滞金が膨らみ、差し押さえまで進むと、相続人の人生に大きな影響を与えます。
