共有名義の不動産を売却する方法|トラブルを防ぐポイントを解説

目次

共有名義の不動産とは?まず基本を理解しよう

共有名義の不動産とは、一つの不動産を複数の人が共同で所有している状態を指します。それぞれの所有者が持つ権利の割合を「共有持分」と言い、登記簿にも各人の持分が記載されています。

共有名義になる典型的なケースとしては、夫婦でマイホームを購入した場合、親からの相続で兄弟姉妹が共同で不動産を取得した場合、二世帯住宅を親子で資金を出し合って建てた場合などがあります。

共有名義の不動産は、購入時には資金負担の分担や住宅ローン控除の活用といったメリットがある一方で、売却の場面では共有者全員の合意が必要になるなど、単独名義の不動産とは異なる注意点が数多く存在します。本記事では、共有名義の不動産を売却する方法と、トラブルを防ぐためのポイントを詳しく解説いたします。

共有名義の不動産売却が難しいと言われる理由

全員の合意がなければ売却できない

共有名義の不動産を売却する場合、民法第251条の規定により、共有者全員の同意が必要です。たとえご自身の持分が過半数を超えていたとしても、他の共有者が一人でも反対すれば、不動産全体を売却することはできません。

これは共有不動産の売却における最大のハードルです。共有者間の関係が良好であれば問題ありませんが、疎遠になっていたり、意見が対立していたりする場合には、合意形成が困難になることがあります。

共有者の状況変化がリスクになる

共有名義のまま長期間放置していると、共有者の一人が亡くなって相続が発生し、さらに共有者の数が増えてしまうことがあります。共有者が増えるほど全員の合意を得ることが難しくなり、売却のハードルはますます高くなります。

また、共有者の一人が認知症になった場合、法律行為(売買契約など)を行う判断能力が不十分と判断されると、成年後見制度の利用が必要になることもあります。このように、時間の経過とともにリスクが拡大する点が、共有名義の大きな問題です。

管理・維持に関する意見の相違

固定資産税の負担方法、建物の修繕や管理の方針、賃貸に出すかどうかなど、共有不動産に関する決定をめぐって共有者間で意見が合わないこともトラブルの原因となります。不動産の「保存行為」は各共有者が単独で行えますが、「管理行為」は持分の過半数、「変更行為(処分)」は全員の同意が必要と、民法で定められています。

共有名義の不動産を売却する4つの方法

方法1:共有者全員の合意で不動産全体を売却する

最もシンプルで、かつ経済的にも有利な方法です。共有者全員が売却に合意し、一つの不動産として市場で売却します。不動産全体として売却するため、持分のみの売却と比べて市場価格での取引が可能です。

売却代金は、各共有者の持分割合に応じて分配されます。たとえば、持分が2分の1ずつの共有であれば、売却代金も半分ずつになります。売却にかかる仲介手数料や印紙税などの費用も、持分割合に応じて負担するのが一般的です。

この方法を円滑に進めるためには、共有者間でしっかり話し合い、売却価格や条件についてあらかじめ合意を形成しておくことが大切です。不動産会社が間に入って調整することで、スムーズに進むケースも多くあります。

方法2:自分の共有持分のみを売却する

共有持分は、各共有者が自由に処分(売却)できます。他の共有者の同意は法律上不要です。そのため、他の共有者と意見が合わず全体の売却が難しい場合でも、自分の持分だけを売却することは可能です。

ただし、共有持分のみの売却にはいくつかの注意点があります。まず、共有持分だけを購入したいという一般の買主はほとんどいないため、市場性が極めて低くなります。結果として、不動産全体の持分割合に応じた価格よりも大幅に低い金額でしか売れないのが現実です。目安として、本来の評価額の5割〜7割程度になるとも言われています。

共有持分の売却は最終手段と考え、まずは共有者全員での売却や、後述する他の方法を検討されることをおすすめします。

方法3:他の共有者に持分を買い取ってもらう

共有者の中に不動産の利用を続けたい方がいる場合、その方に自分の持分を買い取ってもらう方法があります。たとえば、相続で兄弟が共有名義になった実家を、実際に住んでいる兄が弟の持分を買い取る、といったケースです。

この方法であれば、第三者に共有持分が渡ることがなく、共有状態を解消できます。買取価格は共有者間の合意で決めることになりますが、不動産鑑定士による鑑定評価や、固定資産税評価額、路線価などを参考にして適正な価格を設定することが重要です。価格が著しく低い場合には、税務上「みなし贈与」と扱われる可能性がありますのでご注意ください。

方法4:共有物分割請求を行う

共有者間で話し合いがまとまらない場合、裁判所に「共有物分割請求」を申し立てる方法があります。民法第256条では、各共有者はいつでも共有物の分割を請求できると定められています。

裁判所による分割方法には、以下の3つがあります。

「現物分割」は、不動産を物理的に分ける方法です。広い土地であれば、持分に応じて区画を分けることが可能ですが、建物の場合は現実的ではありません。

「代償分割(価格賠償)」は、共有者の一人が不動産を取得し、他の共有者に対して持分に応じた金銭を支払う方法です。

「換価分割(競売)」は、不動産を競売にかけて売却し、代金を持分に応じて分配する方法です。ただし、競売による売却価格は市場価格の6割〜7割程度になることが一般的で、経済的には大きな損失となります。

共有物分割請求は最終的な法的手段であり、費用も時間もかかります。できる限り話し合いで解決することが望ましいでしょう。

離婚時の共有名義不動産の取り扱い

離婚と共有名義の問題

夫婦でマイホームを購入し共有名義にしているケースは非常に多く、離婚時にこの共有名義の不動産をどうするかは、大きな問題の一つです。特に住宅ローンが残っている場合は、問題がさらに複雑になります。

離婚時の選択肢

離婚時に共有名義の不動産を処理する方法は、主に以下の3つです。

1つ目は、不動産を売却して残債を清算し、残ったお金を財産分与として分ける方法です。共有名義を最もすっきり解消できるため、双方にとってトラブルが少ない方法です。

2つ目は、一方が相手の持分を買い取り、単独名義に変更する方法です。この場合、住宅ローンの借り換えや名義変更の手続きが必要になります。金融機関の審査が必要で、収入等の条件によっては借り換えが認められないこともあります。

3つ目は、一方がそのまま住み続け、名義はそのままにする方法です。しかし、この方法はおすすめできません。離婚後も共有名義のまま放置すると、将来の売却時に元配偶者の同意が必要になるほか、住宅ローンの返済トラブルなど、さまざまなリスクが残ります。

住宅ローンが残っている場合の注意点

住宅ローンの残債がある共有名義の不動産を売却する場合、売却代金でローンを完済できるかどうかがポイントになります。売却代金がローン残債を上回る(アンダーローン)であれば、売却と同時にローンを完済し、残った金額を分けることができます。

一方、売却代金がローン残債を下回る(オーバーローン)場合は、不足分を自己資金で補填するか、金融機関と交渉して任意売却を行う必要があります。いずれにしても、早い段階で不動産の査定を行い、ローン残高と比較しておくことが重要です。

共有名義の不動産売却の流れ

ステップ1:共有者全員の意思を確認する

共有名義の不動産を売却する第一歩は、共有者全員の意思確認です。売却に対する賛否だけでなく、希望する売却価格や売却時期、代金の分配方法についても事前に話し合っておきましょう。共有者が遠方に住んでいる場合は、電話やメールだけでなく、必要に応じて直接会って話し合うことも検討してください。

ステップ2:不動産の査定を依頼する

次に、不動産の現在の市場価値を把握するために査定を依頼します。査定結果は、共有者間で売却価格を決める際の重要な判断材料となります。地域の不動産事情に精通した専門家による査定であれば、より正確な価格を知ることができるでしょう。

ステップ3:売却活動を開始する

共有者全員の合意が得られたら、不動産会社と媒介契約を締結し、売却活動を開始します。媒介契約は共有者全員が当事者として契約する必要があります。遠方に住んでいる共有者がいる場合は、委任状を作成して代理人を立てることも可能です。

ステップ4:売買契約を締結する

購入希望者が見つかったら、売買契約を締結します。共有名義の不動産の場合、売買契約書には共有者全員の署名・押印が必要です。共有者が遠方にいて契約の場に立ち会えない場合は、事前に委任状を作成し、代理人に契約を委任することができます。委任状には実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。

ステップ5:決済・引き渡しを行う

決済日には、買主から売却代金を受け取り、同時に不動産の所有権移転登記を行います。売却代金は、事前に合意した持分割合に応じて各共有者に分配されます。登記手続きには、共有者全員の権利証(登記識別情報)、印鑑証明書、住民票などが必要となりますので、事前に漏れなく準備しておきましょう。

共有不動産のトラブルを防ぐためのポイント

共有者間のコミュニケーションを大切にする

共有不動産のトラブルの多くは、共有者間のコミュニケーション不足から生じます。不動産の維持管理や将来の方針について、日頃から共有者間で話し合っておくことが大切です。特に相続で共有名義になった場合は、早い段階で今後の方針(売却するのか、誰かが住み続けるのか等)を話し合っておきましょう。

共有状態の早期解消を検討する

共有名義の不動産は、時間が経つほど問題が複雑になる傾向があります。共有者の高齢化、新たな相続の発生、共有者の転居による連絡困難など、リスクは年々高まります。可能であれば、早い段階で共有状態を解消する(売却する、一人が買い取る等)ことを検討しましょう。

専門家に相談して適切な方法を選ぶ

共有名義の不動産売却は、法律・税務・不動産取引の知識が複合的に求められます。ご自身だけで判断せず、不動産の専門家に相談されることを強くおすすめします。地域の不動産事情に精通した専門家であれば、売却方法の選択から価格の査定、共有者間の調整まで、適切なアドバイスを受けることができます。

合意内容は書面に残す

共有者間で売却に関する合意が得られたら、口頭だけでなく必ず書面に残しましょう。売却価格、費用の負担割合、代金の分配方法、手続きのスケジュールなどを明文化しておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。

共有名義不動産の売却にかかる税金

譲渡所得税は各共有者がそれぞれ申告する

共有名義の不動産を売却した場合、譲渡所得税は各共有者がそれぞれの持分に応じて計算し、個別に確定申告を行います。たとえば持分が2分の1ずつであれば、売却代金の2分の1から、取得費と譲渡費用の2分の1を差し引いて譲渡所得を算出します。

3,000万円特別控除は各共有者に適用される

マイホームの売却に適用される3,000万円特別控除は、共有者一人ひとりに適用されます。つまり、夫婦の共有名義であれば、夫と妻それぞれが3,000万円の控除を受けられるため、合計で最大6,000万円の控除が可能です。これは共有名義の大きなメリットの一つです。

ただし、この特例の適用を受けるためには、各共有者がそれぞれ確定申告を行う必要があります。申告を忘れると特例が適用されませんので、ご注意ください。

金沢市での共有名義不動産の売却事例

金沢市内でも、共有名義の不動産に関するご相談は数多くいただいています。たとえば、相続で兄弟が共有名義になった金沢市郊外の実家について、兄弟間で今後の方針が異なるケースや、離婚に伴い夫婦共有名義のマンションをどう処理すべきか悩まれるケースなどが挙げられます。

金沢市では、香林坊や片町などの中心市街地、金沢駅周辺の再開発エリア、野々市方面の住宅地など、地域によって不動産市場の動向は異なります。共有名義の不動産をどのタイミングで、どのような方法で売却するかは、地域の相場や需要の動向も踏まえて判断することが大切です。

地域の不動産事情を熟知した専門家に相談することで、共有者全員にとって最善の売却方法を見つけることができるでしょう。

まとめ|共有名義の不動産売却は早めの相談・早めの行動がカギ

共有名義の不動産売却は、共有者全員の合意形成、売却方法の選択、税務手続きなど、単独名義の不動産よりも多くの手順と注意点があります。問題を先送りにするほど共有者の状況が変化し、解決がさらに困難になることも珍しくありません。

大切なのは、できるだけ早い段階で専門家に相談し、最適な解決策を見つけることです。共有者間だけで話し合いが進まない場合でも、不動産の専門家が間に入ることで、冷静な話し合いが実現するケースは少なくありません。

金沢市で共有名義の不動産売却にお悩みの方は、有限会社ジャパンサービスにご相談ください。お客様の状況を丁寧にお伺いし、共有者全員にとって納得のいく売却プランをご提案いたします。共有名義のお悩みは、一人で抱え込まず、まずはお気軽にお電話またはメールにてお問い合わせください。

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